歌には人をリラックス効果があることは言うまでもないでしょう。
今回は子守歌を歌うと赤ちゃんがリラックス=ストレス反応を示す時間が伸びたという研究を紹介します。
赤ちゃんに子守歌を聞かせその反応を観察した研究
2015年にInfancy誌に発表されたモントリオール大学の研究です。
この論文では2つの実験を行い赤ちゃんが歌を聞いた時の効果を証明しています。
録音されたプロの子守歌とその歌詞を感情をこめて話した場合と普通の発話を聞かせた
対象者
生後7~10ヶ月の健康な乳児30名(女児16名、男児14名)を対象としました。
実験内容
お母さんには離れてもらい、赤ちゃんに以下の音の内一つを聞かせました。
(1)IDの歌:リズミカルなトルコ語の赤ちゃん言葉で歌った曲。
(2)IDの発話:(1)同じトルコ語の歌詞を赤ちゃんに言うように感情を込めて話す。つまり歌わないで歌詞を赤ちゃんに読み聞かせるように朗読しました。
(3)大人向けの発話:同じ言葉をニュートラルまたは大人語で話す。感情を込めないで朗読しました。
ちなみに赤ちゃんはフランスの生まれでトルコ語は生まれてほとんど聞いたことがありません。
そして、赤ちゃんが「泣きそうになる顔」をするまでの時間を記録しました。
IDとは
Infant-Directed(Speech)の略であり、マザリーズとも呼ばれます。乳幼児に対して自然に出てくる語りかけ方のことである。特徴として、普段よりやや高めのピッチ、ゆっくりとなる速度、大きく付く抑揚の3点が挙げられる。いかなる言語圏、民族であっても共通してみられる普遍的な現象であるとされているようです1)
つまり赤ちゃん言葉は世界共通のようです。(すごい)
結果
乳児が泣き顔をするまでの時間は、、、
IDの発話は平均4.20分でした。
大人向けの発話は3.91分。
そして、IDの歌はなんと平均8.96分とほかの二つより2倍近く長く持ちました。
お母さんに歌ってもらった時と話しかけた時を比較した
対象者
生後7~10カ月の28人の健康な乳児(女児11人、男児17人)を対象にしました。
実験内容
乳児のお母さんは全員フランス語を話しました。
✔お母さんに普段通りに乳児に話しかけてもらう音声を録音しました。
✔普段歌っているような遊び歌を歌ってもらい録音しました。
そして乳児にそのどちらかを聞いてもらい、泣き顔をするまでの時間を記録しました。
結果
泣き顔をするまでの時間はフランス語でお母さんが赤ちゃんに話かけたほうでは、平均3.52分でした。そして、フランス語でお母さんに歌ってもらったほうでは平均 6.68分でした。
スポンサードリンク2つの実験から明らかになった子守歌の効果
赤ちゃん言葉で話すよりも歌を聞いた方が、より長い時間赤ちゃんのストレスが軽減されました。またそれは赤ちゃんが知らない言語でも効果があると考えらます。
赤ちゃん言葉の歌、いわゆる子守歌や遊び歌などは世界中にありますが、リズムや抑揚などが共通していることが多いそうです。
昔の人が試行錯誤を重ねて、赤ちゃんの落ち着く歌を自分たちの言葉で作り上げてきた結果かもしれないですね。素晴らしいシンクロニシティかと思います。
そのため子守歌や遊び歌は文化や言語を超えて赤ちゃんに伝わるようです。
赤ちゃんが不安に感じているときに、ぜひ子守歌などを歌ってみると良いかもしれません。
何かの参考になれば幸いです。
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赤ちゃんに関する研究は以下にもまとめています。良かったら読んでくださいね。
引用論文
Mariève C, Sandra E. Trehub, Isabelle P. Singing Delays the Onset of Infant Distress. Infancy, 2015; DOI: 10.1111/infa.12114
1)児玉珠美. (2015). 0 歳児におけるマザリーズの効果に関する一考察. 名古屋女子大学紀要. 家政・自然編, 人文・社会編, (61), 261-270.