いじめの原因は遺伝子!?科学的に証明!1000組の双子研究から分かったこと

いじめの原因は遺伝なのか?いじめ遺伝説!いじめを科学する【3歳~18歳】こども
いじめの原因は遺伝なのか?いじめ遺伝説!いじめを科学する
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なぜいじめは発生するのでしょうか?集団の中にいれば確かにトラブルやいざこざは必発だと思います。

それでもいじめに発展しない場合もありますよね?

実はその原因の一つにいじめっ子やいじめられっ子の遺伝的な要因が関係しているかもしれないようです。

実際に反社会的行動を引き起こすのも40‐50%遺伝が関係している!(1)なんて言われているようです。

この傾向はいじめでもあるのではないか?と考えられているようです。

そこで今回はいじめと遺伝についての論文を解説していきます。

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いじめの原因は遺伝のせいなのか?!を調べた1000組規模の双子を調べた研究

2008年イギリスのロンドン大学キングス・カレッジの研究になります。

1994年から1995年にイングランドとウェールズで生まれた2232人の双子(1,116組)を対象としました。ここには一卵性双生児や二卵性双生児どちらも含まれています。

双子が5歳、7歳、10歳の時に面談して子ども達を調査しました。

✔いじめの被害調査
双子がいじめを受けたことがあるかを調査しました。
双子のお母さんに、双子のどちらかが5歳のときから他の子どもにいじめられたことがあるかどうかを尋ねました。「ない」、「ある」、「よくある」
また暴力被害(例:あざ、切り傷)や心理的な被害(例:からかわれる、恐怖)を受けたかも尋ねました

✔いじめ加害調査
いじめをしているかを調査しました。
お母さんと教師に子どもが「他人に残酷・意地悪をする」、「人をいじめる・脅す」、「よくからかう」などを評価してもらいました。

集まったデータを分析しました。次に結果を書いていきます。

なぜ双子を研究すると「遺伝」や「環境」だと分かるのか?

年が違う兄弟を比較しても、冬や夏であったり、生まれた環境が違う、その時の食べ物だったり住んでいる場所も違うかもしれない。

また、同じ日に生まれた違う家庭の子は両親が違うし家庭の状況も全く違いますよね。

ところが双子は親も同じですし、生まれた時間もほぼ同じ、食べ物やケアされる内容もほぼ同じです。

一卵性双生児の場合は遺伝情報がとても似ています。

同じ環境や遺伝情報をもった一卵性双生児の双子が育ち、違う結果になると「環境的要因」と特定できるのです。これは双子じゃない人達よりもとても精度が高いと考えられますよね。

また、一卵性双生児の双子がやっぱり同じ結果になってしまったら、それは生まれ持った資質「遺伝的要因」と考えられるのです。

さらに追加で、

「遺伝情報が似ている」「環境は似ている」一卵性の双子と、

「遺伝情報が似ていない」「環境は似ている」二卵性の双子

を解析することで、この「環境的要因」と「遺伝的要因」はさらに精度が上がるのです。

これが双子研究で遺伝が分かる理由なのです。興味深いですよね。

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一卵性双生児はいじめの関与が似ていた!つまりいじめは遺伝かもしれない

双子のいじめ被害といじめ加害の相関は,一卵性双生児の方が二卵性双生児よりも高くいことが分かりました。

具体的にいじめ被害(いじめられっ子)を受ける遺伝的要因は73%でした。環境的要因は27%でした。

いじめ加害者(いじめっ子)になる遺伝的要因は61%でした。環境的要因は39%でした。

いじめと遺伝は結構関連しているようですね。特にいじめ被害、いじめられっ子は割合が高いです。
しかし、この結果にはいくつか注意が必要だなと思いました。

最近ではその遺伝子も特定されてきているようです。機会があれば紹介します。(2)

また、この研究では10歳までしか研究されていないので、10代(10歳以上の)のいじめの傾向については良く分かっていません。

10歳以降のいじめと遺伝の割合

2018年のバージニア・コモンウェルス大学の研究ではバージニア双生児研究および若年者追跡調査の双子8歳~17歳までの2,844人を調査した結果(3)では

いじめ被害(いじめられっ子)48.12%

いじめ加害者(いじめっ子)54.81%

いじめ加害者―いじめ被害者 62.62%

2015年の12歳でのいじめの被害について報告したイングランドとウェールズでの縦断的コミュニティベースの双生児研究からの4826双生児を対象とした研究(4)では

いじめ被害(いじめられっ子)35%

と報告されました。

年齢が高くなると遺伝的な要素は減ってくる

これらの研究から言えることは年齢がある程度高くなるといじめの遺伝的な要素は減ってくる可能性が高いです。それは精神的な成熟や環境の要因が大きくなるからだと考えます。

いじめ被害(いじめられっ子)については10代以降は遺伝の要素はかなり減るでしょう。

いじめられる要因は遺伝よりも関係対関係による要因(環境)に代わってくるからだと考えます。

つまり誰もがいじめられる可能性がありますよね。

いじめ加害に関しては遺伝的要因は高いままで、先行研究の反社会行動を起こす割合に近くなっています。攻撃性などは遺伝が大きいのかもしれないですね。

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いじめと遺伝研究の限界

そもそも一卵性の双子がマイノリティな存在であるため、いじめにあいやすい可能性があります。

また、片方の双子がもう片方の双子をいじめている場合には別の問題が存在しているかもしれません。

これらの点には注意が必要だと考えます。

 

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まとめ

✔いじめ被害の遺伝的要因は73%

✔いじめ加害の遺伝的要因は61%

✔年齢が上がると遺伝の要因は減る。特にいじめ被害の遺伝的要因は減少する。

いじめと遺伝について字幕付き解説動画

字幕付き動画でも解説していますので良かったら見てくださいね

他にも記事をまとめています。良かったら読んでくださいね。

いじめはなかなか根深い問題で解決困難です。
探偵を使ってまずは証拠を確保することが肝要です。
この探偵事務所はいじめ問題も取り扱っているのでいじめで悩んでいる方は相談してみましょう。
原一探偵事務所

引用論文

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Ball, H. A., Arseneault, L., Taylor, A., Maughan, B., Caspi, A., & Moffitt, T. E. (2008). Genetic and environmental influences on victims, bullies and bully-victims in childhood. Journal of child psychology and psychiatry, and allied disciplines, 49(1), 104–112.

(1)Rhee, S. H., & Waldman, I. D. (2002). Genetic and environmental influences on antisocial behavior: A meta-analysis of twin and adoption studies. Psychological Bulletin, 128(3), 490–529. https://doi.org/10.1037/0033-2909.128.3.490

(2)Schoeler, T., Choi, S. W., Dudbridge, F., Baldwin, J., Duncan, L., Cecil, C. M., … & Pingault, J. B. (2019). Multi–polygenic score approach to identifying individual vulnerabilities associated with the risk of exposure to bullying. JAMA psychiatry76(7), 730-738.

(3)Dunbar, E. (2018). Genetic and environmental influences of bullying involvement: a longitudinal twin study.

(4)Shakoor, S., McGuire, P., Cardno, A. G., Freeman, D., Plomin, R., & Ronald, A. (2015). A shared genetic propensity underlies experiences of bullying victimization in late childhood and self-rated paranoid thinking in adolescence. Schizophrenia bulletin41(3), 754-763.

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