【解説】いじめへの関与を減らすには?体罰をやめよう!体罰はいじめを増やす!科学的根拠

【3歳~18歳】こども

今回は体罰といじめに関する研究を紹介します。

いじめを防ぐ方法って何があるでしょうか?

こどもの学校の様子を慎重に聞く、スマホや持ち物をチェックする、交友関係をチェックするなど

沢山あると思います。

その一つに実は体罰を無くすといじめ加害もいじめ被害も予防できるかもしれません。

というのが今回の研究です。しかもこれは日本で行われた研究なんですね。

体罰は親の責任ですのでいじめを防ぎたいのなら、まずは親である我々の行動を考えないといけないなと改めて思いました。

この記事では体罰がいじめっ子を増やす理由やいじめられっ子を増やす理由、愛のある温かい子育てをしても体罰をするといじめへの関与は変わらないよという理由を詳しく解説します。

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日本の親と子どもの体罰といじめの関連を研究した研究

2018年Journal of Adolescence誌から報告された東京大学の研究です。

東京ティーンコホートの前段階の調査データを利用した

大規模な集団ベースの調査の東京都初期青年期調査のデータを利用しました。

この調査は現在東京ティーンコホートでさらに研究を積み重ねているようです。リンク

現在でも4000組以上の家庭を調査しているようですね!
今後さらに長期的効果を調べた研究がアップされるかもしれません。

2002年9月から2004年8月の間に生まれた子どもの家族を対象としました。
東京都世田谷区、三鷹市、調布市の住民票から無作為に選ばれた4326組の有効な回答が得られました。(子どもの平均年齢:10.2歳,男子53%)

研究対象の人たちの年齢、性別、肥満度、知能指数、親の学歴については日本の一般的な水準でした。

自宅を訪問し調査は2回の家庭訪問とアンケートで行いました。

親の暖かい育児と体罰、いじめとの関連を調査した

調べたのは以下の項目です。

✔親の体罰を頻度
あなたは、しつけの手段として、子どもを叩きますか?
「ほとんどしない」、「時々ある」、「よくある」から選んでもらいました。

✔暖かい育て方か?
温かい子育てを評価するために、2つの質問を用いました。
「子どもをほめていますか」「子どもに愛している、大切にしていると言っていますか」これに答えてもらいした。
いつもすると答えれば暖かい育て方の可能性が高いと評価されます。

✔いじめへの関与について

いじめへの関与について子どもとその親それぞれに調査しました。

子どもたちには,「過去2,3か月間に学校でいじめられたことがあるか?」,「過去2,3か月間に学校で他人をいじめたことがあるか?」

親には「過去2、3ヶ月の間に、あなたの子供は学校でどのくらいの頻度でいじめられましたか?」 「過去2、3ヶ月の間に、あなたの子供は学校でどのくらいの頻度で他人をいじめましたか?」と質問しました。

「全くない」、「2ヶ月に1回か2回」、「月に2回か3回」、「週に1回」、「週に数回」の5つの回答から選んでもらいました。

子どもまたは親がいじめられていることを明かした場合,その子どもはいじめられていると分類されました。

調査結果をもとに

「いじめ無し」(いじめに関わったことがない人)

「いじめ被害者」(いじめられたことはあるが、他の人をいじめたことはない人)

「いじめ加害者」(他の人をいじめたことはあるが、自分はいじめられたことがない人)

「加害者と被害者」(いじめられたことがあり、他の人をいじめたこともある人)

4つのグループに分けました。

体罰の多い子どもはいじめの加害者、被害者になりやすい!暖かい育て方をしても意味なかった!

結果は

✔叩くことが「時々ある」以上の頻度で経験している子どもは約40%でした。また,全体のうち33%がいじめに関与していました。

✔いじめへの関与の形態は,「被害者」が最も多く,次いで「被害者加害者」、「加害者」の順でした。

✔体罰が「よくある」「時々ある」は、「ほとんどない」に比べて、いじめに関与するリスクが高かった.
➡体罰が「よくある」子どもは6人に1人がいじめに関与していました
➡体罰が「時々ある」子どもは11人に1人がいじめに関与していました。

✔体罰が「時々ある」または「よくある」子どもは「ほとんどない」子どもに比べ、いじめ加害者に2.2倍なりやすく、加害者被害者2倍、被害者に1.3倍なるリスクがありました。
➡これは、性別や親の学歴、BMI、親の心理的ストレスなどの背景を考慮した結果です。そして暖かい育て方をしていてもこの結果は変わりませんでした。

この結果を見ると体罰している親は40%いますので、日本において体罰はまだまだ一般的なしつけの方法ですね。いじめも33%発生しているので頻度が高いと考えます。

特に体罰は「いじめ加害者」や「いじめ加害といじめ被害の両方経験する子ども」を増やす結果でした。

また、愛のある温かい家庭であってもいじめへの関与はへらせませんでした。というより暖かい家庭という因子の有無を比べても結果は殆ど変わらなかったのです。

なぜ体罰がいじめへの関与を増やすのか

この研究の考察を元に原因を述べていきたいと思います。

体罰で「いじめの加害者」=いじめっ子になる理由

理由は5つあります

理由①
子どもは親の暴力的な行動を真似る可能性があると言われています。

親の方法を子どもが真似るのは当然ですよね。体罰による暴力的解決も真似た結果エスカレートし、相手を躊躇いなく簡単に殴る子どもになります。さらに発展していじめが生じるのでしょう。

理由②
体罰は子どもの適切な道徳的発達を妨げ、その結果、子どもは仲間に対して不適切な行動をとる可能性があると言われています。

先行研究では体罰は子どもの嘘を助長しやすい(しかも巧妙になる)ため道徳的な行動や人間関係が取れずいじめに発展していくのかもしれません。【詳細リンク:子どもへの体罰と嘘の関係:体罰を与える環境の子どもは嘘をつきやすくなる

理由③
親の暴力に繰り返しさらされることで、子どもの社会的問題解決能力の発達が妨げられる可能性があります。

解決するには暴力だ!という思考になり、言葉による説得や交渉という社会的問題解決能力が低くなることが考えられそれがいじめに発展すると考えられます。
また、体罰は攻撃性を増強させ社会性を低下させる研究結果もありますから可能性は高いと考えます。【詳細リンク:体罰は社交性・集中力を低下させ攻撃性を高める

理由④
遺伝子と環境が今回の結果に関連性している可能性

親から攻撃的な性格や気質を受け継いだ子供は、仲間に対して攻撃的な行動をとり、友達との関係がうまくいかない傾向があるかもしれません。

理由⑤
悪さをすることが多い子どもが親から多くの体罰を受ける傾向にあり、それが仲間への悪さを加速させているのかもしれません。

体罰で「いじめ被害者」=いじめられっ子になる理由

理由は2つあると考えられます。

理由①
親からの暴力に繰り返しさらされることで、思春期初期の社会的問題解決能力や自己主張能力の発達が阻害されます。
その結果、容易に他人に従うようになるのかもしれないと考えられています。

確かに大きな大人に暴力振るわれたら、小さくて弱い子どもは怖くてそれ以上文句や理由を言えないですよね。これがいじめをされてもそのまま我慢してしまう子になると考えられます。

理由②
先行研究で思春期初期に身体的懲罰によって自尊心が低下します。その結果いじめに遭いやすくなる可能性がある。
繰り返し受ける体罰=暴力によって子どもの自信は低下し、いじめられても仕方がないと思ってしまうかもしれません。

いじめ被害者がいじめ加害者になる理由

体罰を受けるといじめっ子になる要因といじめられっ子になる要因が同時に存在しますよね。これがいじめの被害者であり加害者になりやすい土台があると言えます。

そして、以下のことが理由と言われています。

✔いじめられることで人に対し敵意が生まれる
✔いじめられた経験を学ぶ

詳しくはいじめは連鎖するに書いています。

これまでの先行研究で、このいじめの被害を受けいじめ加害もするタイプの子どもは精神疾患や外向性障害,犯罪行為に手を染める確率を高める可能性があります。また、うつ病になる可能性や思春期前の自殺を増やすことが言われています。
とても厄介な事態だと言えます。

愛情のある子育てをしても親の体罰は子どもへのいじめの関与を増やす理由

温かい子育ては子どものテロメアなどを長くする効果などが良い効果があると言われています。【詳細リンク:温かい子育てはテロメアが長くなる

温かい子育ては,確かに子どもの社会的スキルに良い影響を与えるかもしれませんが、いじめへの関与に抵抗するための十分な社会的スキルの育成には寄与しない可能性が考えられます。

身体的なしつけと思春期のいじめへの関与は関連性が非常に強く、温かい子育てであっても影響を与えることはできないかもしれません。いじめは強烈なのでしょう。

また親が報告した温かい子育ての内容は、必ずしも信頼できるものではないかもしれないと考えられます。簡単なアンケートなので、研究の限界にもなるのですがさらに詳しい調査に期待したいですね。

まとめ

✔日本で体罰する家庭は40%、いじめは30%発生している!

✔体罰はいじめ加害者、いじめの被害者を増やす!

✔更に体罰はいじめ加害かつ被害も増やす!

✔温かい子育てをしてもいじめへの関与は減らせない!

これらより導きだされるのは

✔いじめへの関与を防ぐには体罰をしない!

いかがでしたでしょうか?この日本の研究を見てみるとまだまだ体罰は一般的ですね。
そして、いじめも10人に3人が経験するくらい一般的です。しかもこれは自己申告であり、10歳の子どものデータですから思春期以降はさらに増えるかもしれません。

昨今では旭川の中学生がいじめを苦に自殺された悲しい事件も良く起こっていますよね。
いじめに対処することは親にとって当然かもしれませんが、いじめを防ぐ方法の一つに親が体罰を無くす方法が有効かもしれません。

これを機に子どもと体罰への意識を変えるきっかけになればと思います。

子育てや体罰に関する記事は他にも書いていますので良かったら読んでくださいね。

引用論文

Fujikawa, S., Ando, S., Nishida, A., Usami, S., Koike, S., Yamasaki, S., … & Kasai, K. (2018). Disciplinary slapping is associated with bullying involvement regardless of warm parenting in early adolescence. Journal of adolescence68, 207-216.

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