今回の論文はメンタリストdaigoさんの動画で紹介された論文を元にしています。
テーマは子どもと親の介入が長期的にどのような影響を与えるのか?
論文を読むと心理的コントロールが子どもの幸福感を下げることや父親の重要性が述べてある論文でした。
より詳しく論文の内容に触れていきたいと思います。
毒親の特徴を調べた研究
2016年The Journal of Positive Psychology誌から報告されたイギリスの研究になります。
5300人の子どもを60歳になるまで長期間調査した!
1946年にイングランド、ウェールズ、スコットランドで生まれた5362名を対象としました。
データは出生時から23回にわたって収集されており、最新のデータ収集は2006年から2011年にかけて行われた。
以下のことを調査しました。
子どもが大人になるにつれての精神的幸福度を調べた
✔13歳と15歳のときは教師の評価を取り入れました。
「他の子供たちからとても人気がある」(13歳のときのみ)、「とても幸せで満足している」、「簡単に友達ができる」、「元気で疲れない」という4つの項目で評価しました。
✔36歳の時点での人生満足度は、「全体的に見て、人生はあなたにとって良かったと思いますか」という質問をしました。
✔43歳の時点では家庭と家族の領域での生活満足度を、「振り返ってみて、家庭と家族の生活で達成したことにどの程度満足していますか」など7つの項目を答えてもらいました
✔60~64歳の時点では精神的幸福度スケール(WEMWBS)が用いられました。
このスケールは過去2週間に各項目をどのくらいの頻度で経験したかを5段階評価で答えます。項目には、「自分のことを良く思っている」、「他人を身近に感じている」、「新しいことに興味を持っている」、「将来を楽観的に考えている」など
親子関係について調べた
子どもの各年齢で精神的幸福度を調べたのと同時に親子関係や親の介入について子どもの認識を聞きました。
✔親のケアはあるか?
親の世話や配慮があったか?「私に愛情を注いでくれた」「私を褒めてくれた」などの12項目で評価しました。
✔行動コントロール
親の行動コントロール私を外出させてくれなかった、好きなことをさせてくれなかった、好きなものを着させてもらえなかったなどの5項目で親が子どもの行動を抑制する度合いを評価しました。
✔心理コントロール
親の心理コントロール「プライバシーを侵害した」、「依存させようとした」など7項目など子どもを精神的に操作するような介入があるかをアンケートしました。
親が子どものマインドを操作すると精神的幸福度は悪くなる
結果は以下の事が明らかになりました。
✔親のケアのレベルが高いほど、36歳、43歳、60-64歳での幸福度が高かった。
✔親の心理的コントロールの度合いが高いほど、すべての年齢で幸福度の低さと関連していた。
✔行動コントロールは幸福度とは関連しなかった
効果的な子どもの叱り方
今回の研究結果から導きだされる子どもの叱り方は行動コントロール叱り方を実践することです。
また、daigoさんの動画でもこの結果を参考にして子どもの叱り方の方法について述べています。
ストレートに命令でコントロールしようとする行動コントロールのタイプの子育ては、毒親的なネガティブな影響はない。
逆に罪悪感・恥というネガティブな感情で相手を動かそうとする叱り方は良くないと考えられます。
それは親が子ども心理的にコントロールしてしまうと子どもの幸福度を下げてしまうことが明らかになったからです。
子どものプライバシーを傷つけることや親がいないと駄目な人間など依存させるなどの行為をすると将来にわたって幸福度が下がります。
そういう親は毒親とされてしまうのかもしれないですね。
なぜ心理的コントロールは良くないのか
今回の心理的コントロールとされたのは子どもに罪悪感などを抱かせ、「子どもに自分で判断させない」「自分で考えさせない」「自分の意見を持たせない」「プライバシーを侵害する」「親への依存を助長するような行動をとる」などです。
心理的コントロールのような感情の発達を操作するような子育ては思春期や成人期における子どもの心理的障害のリスクの上昇と一貫して関連していると言われています。
それは子供の自立を制限し、子ども自身の行動を調整する能力を低下させる可能性があると考えられています。
子どもの自身の精神的成長に必要なことを全部ダメにしてしまうのでしょう。
子どもの見た目は小さくて弱い存在ですよね。そして、心もとても繊細で脆いのでしょう。大人の一言一言が心を壊してしまう可能性があります。
子どもの心は大事にする必要があります。
また、行動的コントロールは子どもに予測可能な環境を提供し社会的に受け入れられる行動を促すことができる。
子どもへのケアや愛情が伴っていれば精神的には不幸にならない方法のようです。
行動コントロールの傾向が強いと、いわゆる口うるさい親かもしれませんがそれだけでは精神的には影響を与えないと考えられます。
しかし、精神的幸福度には影響は見つからなかったのですが、他への影響はあるかもしれないので子どもの行動のコントロールをする時は理由も添えると良いでしょう。
このような点を踏まえた上で子どもへの叱り方を工夫してみては良いでしょう。
子どもの幸福度には父親のケアが重要らしい
更にこの論文では父親の重要性も明らかになりました。
父のケアが母のケアよりも子どもの幸福度と強く関連していたのです。
昔は子育て関連の研究は母親と子どもを対象にしたものが多かったのですが、近年では父親の子育てが注目されており結構重要だよという事が分かってきています。(母親が特に重要なのは言うまでもないですが)
精神的幸福度では、父のケアは男児女児ともに正の相関がありましたが、特に男児に高く見られました。
研究者は同性の親(男同士)との同一化が進み、息子(娘)が父親(母親)の行動、価値観、認知を自分の価値観として取り入れることを促すと指摘しています。
今回の研究では男児は女児よりも父親のケアの度合いが高いと思いやり、支援、温もりのある態度を取り入れることで、より対人関係の機能や感情を向上させる可能性が高いと述べられています。
男の子には特にお父さんが重要だと言えますね!
こちらの記事でもお父さんの効果について書いています
スポンサードリンクまとめ
✔親のケアが高いと年を取っても子どもは幸福感を感じる
✔親の心理的コントロールが高いと子どもの幸福感は一貫して下がる
✔父親のケアは男児、女児ともに幸福感には重要で特に男児には有効かも
いかがでしたでしょうか?今回参考にさせてもらったdaigoさんの動画面白いですので良かったら見てみてくださいね。
大人にも言えることですが、心理的に子どもをコントロールする子育てには注意したいなと改めて思いました。
他にも子育てに関連する記事を書いていますので読んでくださいね。
スポンサードリンク引用論文
Stafford, M., Kuh, D. L., Gale, C. R., Mishra, G., & Richards, M. (2016). Parent–child relationships and offspring’s positive mental wellbeing from adolescence to early older age. The journal of positive psychology, 11(3), 326-337.