今回はタバコが及ぼす影響について書こうと思います。
これから子どもが欲しい、作る予定のタバコを吸う男性は妊娠中の女性から離れてタバコを吸えば(=副流煙対策)をすれば影響は無いと考えていませんか?
今回は副流煙の影響を除外してもやっぱり子供に悪影響を与えてしまうタバコの害に関する研究を紹介します。
親の喫煙と成人男性の精子調べた研究
2018年に出版されたスウェーデンのルンド大学の研究です。
104人の成人男性が対象
17歳から20歳までのスウェーデン人男性104人を対象に実施されました。
親の喫煙についてのアンケート調査と精子を採取
対象者に以下のアンケートを実施しました。
✔現在の自分の喫煙
✔妊娠中の父親の喫煙(はいまたはいいえ)
✔妊娠中の母親の職業
また精索静脈瘤の存在を含む医師による性器の検査を受けてもらい、精液のサンプルをもらいました。
また、研究者は対象者の男性たちの長期保存していた母親の血清サンプルを回収しました。
これらのサンプルは、対象者の男性たちの母親が妊娠6週目から35週目までの間に風疹のスクリーニングのために採取されたものを利用したそうです。
父親が喫煙していると精子が減少していた!研究結果
✔104人の男性のうち、25人(24%)が喫煙者で、79人(76%)が非喫煙者でした。
✔33人(32%)が妊娠中に父親が喫煙しており、71人(68%)の父親が喫煙していなかった。
→母親自身のニコチンへの曝露や社会経済的要因、および対象者自身の喫煙の影響を考慮した分析をしてこの結果でした。さらに非喫煙者の母親のみで解析をすると、父親が非喫煙者の人に比べて精子の濃度が56%低く、精子の量は64%低いという結果でした。
Limitation:この研究の限界
ほとんどすべての研究に存在しますが、この研究の不十分な点です。
✔サンプル数が少ないです。
✔父親の喫煙に関するデータが、息子たちが回答したアンケートのみに基づいていることです。
✔父親の喫煙期間や1日あたりのタバコの本数についてもデータがありませんでした。
✔最近禁煙した母親を識別することが出来なかった、妊娠初期に行われている母親の喫煙を過小評価している可能性あります。
研究のポイント
今回の結果は父親がタバコを吸い、副流煙を妊娠中の母親が吸った影響では無いと考えられています。
それは母親のタバコの本数やニコチンへの暴露の指標であるコチニンの濃度を調べることが出来たからです。
コニチンとは、タバコの主成分であるニコチンの代謝物でコニチンの濃度を測定することで、ニコチンへの暴露の程度が分かり、タバコを吸っているか?どれくらい吸っているか?副流煙に暴露を受けているかが分かります。
今回の研究では妊娠中の母親の血液サンプルを手に入れており、コニチン濃度を調べることで、母親がニコチンをどの程度暴露されているか?喫煙しているかが判断できました。そのおかげで母親が喫煙している影響や副流煙の影響を除外した解析が出来たのです。
つまり父親が喫煙→妊娠中の母親が煙を吸うというプロセスとは違う影響を観測できました。
それはタバコが父親の精子の遺伝子を傷づけるということです。そのせいで子どもの精子が少なくなるという理論です。
✔研究者は喫煙が精子のDNA損傷を誘発し、精子に突然変異を誘発すると述べています。そのため父親の喫煙は、娘の生殖寿命の短縮、奇形、小児白血病など、子供の他の否定的な結果と関連している可能性があると述べています。
スポンサードリンクまとめ
いかがでしょうか?しっかり分煙して副流煙だけ気にしていれば大丈夫と思っていませんでしょうか?
煙ももちろん有害ですが、タバコを吸うこと自体が自身の精子を気付つけ、子どもの遺伝子に悪影響を及ぼす可能性があります。
タバコは百害あって一利なしです。
言わずもがなですが、女性の喫煙も子どもに悪影響を与えます。
吸っている人はこれを機に禁煙をお勧めします。
また、女性はタバコを吸っている人自体が子どもに悪影響を与えることを念頭にパートナーを探すことをお勧めします。
また喫煙はその他いろいろ子どもに害を及ぼします。その一つがむし歯です。こちらのブログもよければ参考にどうぞ。
引用論文
Axelsson J, Sabra S, Rylander L, Rignell-Hydbom A, Lindh CH, Giwercman A (2018) Association between paternal smoking at the time of pregnancy and the semen quality in sons. PLoS ONE 13(11): e0207221. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0207221