タバコは百害あって一利なし
今回はそんなタバコの害について新しい論文が出ました。
ちなみにタバコの副流煙のことを英語でsecondhand smoke (SHS)といいます。
詳しく説明していきます。
日本の大学生に親の喫煙とむし歯の調査研究
2020年に出版された日本の研究です。内容は10年以上副流煙(SHS)にさらされた子どもは将来むし歯になりやすいという論文が発表されました。
岡山の大学生を対象にした
岡山の大学1年生1905名(年齢層:18~19歳)で、アンケート調査と歯科医師による口腔内検査を行いました。
また、年齢が20歳以上であることや現在喫煙者であること、不完全なデータを提供している人は除外されました。
親のたばことむし歯の調査アンケートをした
アンケート調査の内容
年齢や性別の他に、、、
✔定期的な歯科検診
✔糖菓や清涼飲料水の摂取頻度
✔フッ化物外用剤の塗布経験
✔食育に関する知識
✔家庭におけるSHS(副流煙)への曝露
以上を回答してもらいました。
検査✔歯科医師による口腔内検査
歯科医師9名にて検査されたようです。
DMFTを評価しました。
DMFTとは
一人あたりのむし歯(D)、むし歯で抜いた歯(M)、むし歯で修復した歯(F)の合計で、集団のう蝕経験を表す指数です。日本ヘルスケア歯科研究会より
つまり過去や現在のむし歯の有無を評価しました。
親のタバコによる副流煙にさらされた人はむし歯になりやすい結果!
家庭でのSHS(副流煙)への10年以上の暴露がむし歯と関連していることが明らかになりました。
SHSへの暴露が無い人より1.5倍むし歯になりやすいようです。
なぜタバコの副流煙(SHS)に暴露されるとむし歯になるのか?
最近の研究ではニコチンがむし歯菌のS. mutansの増殖を促進することが分かっているそうです。
SHSは気道の炎症を亢進させ、喘息やアレルギー性鼻炎などの呼吸器疾患を引き起こすようです。これらによって、間接的に口呼吸の原因となり、唾液が減少し口の中が乾燥しやすくなる可能性が考えられています。
アルカリ性の唾液はむし歯菌が歯を溶かすために出す酸から歯を守る作用があるので、口の中が乾燥=唾液が少ない状況になるとむし歯になりやすくなります。
また、有害な酸などを物理的に唾液で洗い流す効果も弱くなります。
SHSは血清ビタミンCレベルの低下と関連しており、血中のビタミンCが低下すると口の中はむし歯になりやすい環境になるそうです。
まとめ
タバコは百害あって一利なしですね。
子どもの前でタバコを吸うことは子どもの歯を傷つける可能性もあるということですね。
その他にもいろいろ害はありますが、やめておくほうが良いでしょう。
タバコによる子どもへの害は他にもあります。父親が喫煙していると副流煙など関係なく、遺伝子が傷ついて子どもの精子の量が減ります。以下の記事に詳しく書いていますので良かったら読んでくださいね。
引用論文
Noguchi, T., Nakagawa-Senda, H., Tamai, Y., Nishiyama, T., Watanabe, M., Hosono, A., … & Suzuki, S. (2020). Association Between Second-hand Smoke Exposure and Depressive Symptoms Among Japanese Adults: A Cross-sectional Study. Journal of epidemiology, 30(12), 566-573.