ついつい危ないことを子どもがしてしまうと叱ってしまうときもありますよね。
子どもに危険なことをどうやって安全に学ばせることが出来るのか?ヒントになるような研究論文だと思いました。
それは親や他人の恐怖や痛いときのストレス反応が子どもにも伝わっており、実際に経験していないにも関わらず恐怖を共有できる可能性がある研究です。
親や大人の電気ショックを見せることで子どもストレスを感じることが判明した研究
2020年に超有名雑誌ネイチャーのScientific Reportsに出版された研究になります。
対象者
73人の親と83人の子供(平均9.7歳)が対象となりました。
実験方法
まず親と子どもが全く知らない大人の様子をビデオ撮影をしました。
それは、
指に電気が流れる装置をつけてもらい、痛くないけど不快な電流を流す装置をつけてもらいました。
次に皮膚コンダクタンスを装着しました。
皮膚コンダクタンスはストレス刺激で生じる手の発汗に伴う電気的変化を計測する機械でストレスの指標などに使われるようです。嘘発見器も皮膚コンダクタンスを活用していたとか、、、
赤、青、黄色のランプが光るのを見せ特定の色で電気刺激が流れるようにしました。
✔親は赤ランプが光ると電気ショックが8回中5回流れる。
✔知らない大人は青ランプで電気ショックが8回中5回流れる。
✔黄色が流れる場合は何も起こりません。
親と知らない大人の実験の様子を別々に撮影し録画しました。
そして、子供に録画したビデオを親と知らない大人の分を見せました。
子どもも同じように電気ショックの機械と皮膚コンダクタンスを装着しました。
そして、大人たちの時と同じように青や赤、黄色のランプが光るのを見せました。
しかし、子どもには青や黄色が出ても実際に電気ショックを与えることはありませんでした。
その子どもの皮膚コンダクタンスの反応を記録しました。
スポンサードリンク親や他人の電気ショックを流れている場面をみて恐怖やストレスは子どもにも伝わった!
実験の結果は
✔親や知らない他人が電気ショックを与えられた色を子どもが見た時、皮膚コンダクタンスに反応がありました。
つまり、子どもは電気ショックの苦痛が来ると思いストレスを感じました。(実際には電気ショックは流れません)
✔親と皮膚コンダクタンスの同期が高い子どもほどストレスは伝わりやすいことが分かりました。
✔次の日に同じ実験を子どもに試してみても、電気ショックのことを覚えており特定の色が出ると子どもはストレスの反応を示しました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
この実験を参考にすると、子どもに絶対してほしくないことを教えるときに親は演技してみせて不快な感情を見せると子どもに伝わるかもしれませんね。特に親子の生理的同期が高い=似ている親子だと効果が高いそうです。
恐怖体験などは親でも良いですが、他の大人でも伝えられるようですね。実際に体験した人に語ってもらったり、ドラマを見せるのも効果的かもしれません。
私自身も小学生の時に自動車の安全講習会があり、スタントマンが実際に車にひかれるシーンなど見たことがあります。派手に車に引かれて(演技ですが)痛がっている姿を見た時子どもながらにも恐怖を感じ、絶対に気を付けようと思ったものです。
今回のお話はすでに子どもへの指導に応用されていることだと思いますが、科学的根拠も明らかになってきているようですね。
何かの参考になれば幸いです。
他にも子育てに関する記事を書いています。良かったら読んでくださいね。
スポンサードリンク引用論文
Marin, M. F., Bilodeau-Houle, A., Morand-Beaulieu, S., Brouillard, A., Herringa, R. J., & Milad, M. R. (2020). Vicarious conditioned fear acquisition and extinction in child–parent dyads. Scientific reports, 10(1), 1-10.