先生が生徒の能力をどう思っているか(生まれつき?努力で成長する?など)が学習へのモチベーションや成績を変えるかも!科学的根拠

【3歳~18歳】こども
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先生の態度って学習する上では結構重要ですよね。今回はどのような態度や声かけが好ましいか?について研究した論文を紹介します。
また、教師がどう思っているかによって生徒のモチベーションや成績が変わる可能性があります。

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テストに失敗した生徒へフィードバックが生徒のモチベーションを上げた研究

2020年カナダアルバータ大学の研究です

英語を勉強している大学生180人(60.6%が女性)を対象としました。

英語の難しい試験を15分で解いてもらいました。
テストを実施するのは英語教師で教育学の修士課程(大学院生)の先生と説明しました。

テストを受けとると、採点しフィードバックをしますと伝えました。
難しいテストでしたのでみんな失敗しました。

フィードバックを受けてその後アンケートに記入してもらいました。

生徒のメタレイも確認しました

メタレイ理論とは
他人(教師)が自分の言語学習能力を向上させることができると信じているか?について自分の認識の程度のことを指します。

メタレイには2種類あり、能力固定のメタレイと成長のメタレイがあります。
他人(教師)が能力を固定的であると信じていることを能力固定のメタレイと言います。
他人(教師)が練習によって変化する信じているかを成長メタレイと言います。

よく話題になる学力は遺伝や能力によって決められる、または環境や努力によって決められるなどの議論と同じで、それは誰もがどちらかの性質を持つのではないでしょうか?
今回は教師に言われた言動から、生徒がどのような気持ちになったか確かめました。

3種類のフィードバックのパターンを生徒にした

✔1つ目は何もフィードバックは返さないパターン

✔2つ目は能力を慰めるフィードバック
テストでうまくいかなかったことを残念に思います。あなたが優秀で有能な生徒であることを知らせたかったのです。
英語はすべての人に必要な科目ではありません。人によっては、生まれつき語学が得意ではない人もいます。でも、あなたは他の教科にも素晴らしい才能を持っていると思います。
私はあなたを気にかけていますので何かあれば質問してくださいね。

✔3つ目は改善点を重視したフィードバック
テストでうまくいかなかったことを残念に思っています。あなたが優秀で有能な生徒であることを知らせたかったのです。
多くのことがそうであるように、英語は練習すればするほど完璧になります。あなたが英語に取り組め続ければ、あなたが望むレベルの習熟度になるので、それに取り組み続けてください。
私はあなたを気にかけていますので何かあれば質問してくださいね。

上記の3パターンで比較解析しました。

能力を慰めるフィードバックはモチベーションを低下させた!

✔能力を慰めるフィードバックをした場合、生徒の自律性、能力、関連性は有意に低下していました。
言語が上手いのは生まれつきの能力だというマインドセットの傾向になりました。
また、失敗を恐れる考えになり、英語に対して消極的な態度、英語の勉強の継続性も低下しました。

✔改善点を重視したフィードバックはその逆の傾向にありました

メタレイも違う傾向がでた!

✔能力の助言をするとメタレイは能力固定の傾向になりました。
つまり、先生が自分の能力を向上させる可能性をあまり信じていないと認識していました。

✔改善の助言を言うと成長の傾向になりました。
つまり、先生が自分の能力を向上させることができると信じていると認識していました。

以上の点をまとめると

今回のポイント✔生徒が失敗した際の先生の言葉かけの仕方で能力が固定されるまたは成長するという考えが伝わり、それが勉強のモチベーションにつながる可能性があります。

✔能力を固定させる言葉かけをすると自律性や英語の意欲は低下し、英語を学ぶことに対して失敗を恐れ、消極的になる傾向にあります。

能力が固定されている考えをもつ先生だと、失敗や悪い点を取った場合、この生徒は能力が無いと思われそうですよね?そのような点ありこのデメリットが多い結果となったと考えられます。

声かけの方法で生徒の考えが変わるのにびっくりですよね。それだけ学校の先生はとても大事な仕事だと思いました。そして、近年は先生の態度が生徒に与える影響について結構研究されているようです。

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教師が能力に対してどう思っているかで生徒の態度や成績が変わる研究(1)

2020年テキサス大学の研究では、研究対象者の生徒達に大学の微積分コースの初日に教師の紹介ビデオを流しました。その中で教師が授業をうまくこなすために必要なことについての考えを述べました。

教師が数学の能力は生まれつき、才能などを示唆する考えを伝える場合と教師が能力は努力すれば成長する考えを伝える場合のビデオ、どちらかを生徒に見てもらいました。

能力は生まれつきと伝えられたビデオを見た人は、努力すれば成長すると伝えられたビデオを見た人に比べて、授業への帰属感や参加感が著しく低下しました。またネガティブな評価を受けることへの恐れをもっていました。

一方で努力すれば成長すると伝えられたビデオを見た人は、授業への関与や努力が高い傾向がみられました。

また、他の研究では教師が能力は固定していると考えていると感じた参加者は、教師が努力すれば成長すると感じた参加者よりも、授業をサボる可能性が高いことがわかりました。また帰属意識が低く、成績も低下する傾向にありました。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
人の能力は生まれつき決まっているという考えの先生の教育では生徒は育たない可能性が高いと言えます。また、そのような先生に教わるのはちょっと嫌ですよね。生徒もそういう教師の考えを見抜くと途端にやる気がなくなるのかもしれませんね。

もちろん学力や学問的成功は遺伝や能力による影響もありますが、環境や努力などの後天的な影響もかなり大きいと言われています。

先生の能力に対する考え方を聞いてみても良いかもしれません。
先生って生徒にとってとても大事な存在ですよね。

似たような話題で子どもの能力を褒めると嘘をつきやすくなる可能性がある記事や過剰に褒めるとデメリットがあるよという記事もあります。良かったら読んでくださいね。

また、学問的成功するには遺伝も大事ですが、環境などの後天的影響も大事だよという記事も書いています。

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引用論文

Lou, N. M., & Noels, K. A. (2020). “Does my teacher believe I can improve?”: The role of meta-lay theories in ESL learners’ mindsets and need satisfaction. Frontiers in psychology, 11, 1417.

(1)Muenks, K., Canning, E. A., LaCosse, J., Green, D. J., Zirkel, S., Garcia, J. A., & Murphy, M. C. (2020). Does my professor think my ability can change? Students’ perceptions of their STEM professors’ mindset beliefs predict their psychological vulnerability, engagement, and performance in class. Journal of Experimental Psychology: General.

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