今回は人って意外と親切だよという研究を紹介します。
財布を落としてしまったら返ってくると思いますか?金額が大きいとそのまま持っていかれるのでは?と思う人が結構多いのではないでしょうか?
私もそう思っていました。
実際に確かめてみると意外なことが分かりました!という研究論文です。
世界中で財布を落として分かったこと、、、人間は意外と親切!
2019年にScience誌に出版された研究です。
対象は?
世界40カ国の355都市を対象としました。超大規模ですね
調査方法
各国の都市のうち5~8の大きな都市を対象としました。
1カ国あたり約400件で総合計17303個の財布を落とした調査を実施しました。
研究者が財布を落としたと言い、以下の施設の従業員に届けました。
②劇場、博物館、その他の文化施設
③郵便局
④ホテル
⑤警察署、裁判所、その他の官公庁などです。
財布は透明なカバーで名刺が見えるようになっており、拾った人が財布を開けなくても連絡先が確認できるようにしてありました。
✔財布にお金が入っていない場合
✔財布に約1,400円(13.45ドル)が入っている場合
で試しました。
財布には持ち主の名前とメールアドレスが記入されてある名刺が入っており、国ごとに架空の一般的な男性の名前を使用しました。
研究者が財布を落とした先の建物に入り、そこの従業員に
「路上で財布を落としているのを見つけました。急いているのでもう行かなければなりません、お願いします。」
と言い財布を預けました。
それぞれの財布毎にメールアドレスを作成し、最初に財布を預けてから100日以内に連絡が来るかを記録しました。
スポンサードリンクお金が入っているほうが財布は返ってきた!
結果は
✔お金を入れていない財布は返ってくる可能性が40%でしたが、お金を入れている財布では51%に増加しました(P < 0.0001)
しかしこの結果だけだとお金が大金じゃなかったからかえって来たのかも?と思いますよね
お金が大きいほど落とした財布は返ってきた!
研究者は財布の中にお金が入っているときの方が親切さや誠実さは高かったのですが、これは財布の中のお金が大した金額ではなかったからかもしれないと考えました。
この可能性を検証するために、米国、英国、ポーランドの3カ国で財布の中のお金を約1万円(94.15ドル)に増やして再度実験しました。、
財布の中身を1万円にした結果
✔3カ国とも1万円入れた財布の方が、1400円入っている場合や何も入っていない場合に比べ返ってくる割合が高かった
✔3カ国を合計してみると、お金が入っていない場合では46%、財布に1400円入っている場合では61%、財布に1万円入っている場合では72%の確率で返ってきました。
また、防犯カメラ有無や同僚などの目撃が無くても結果は変わりませんでした。
この結果について研究者は財布を落とした中身の金額が大きいほど持ち主は困っているだろうという気持ちの表れだということ。
つまり我々は相手が困っている場合は良心や親切心が働くためだと考えられています。なので大金で困っているなと感じるほど返却率が高まるのです。
またこの研究では財布の中に鍵も入れるパターンも実施しており、鍵が入っていると返却率はさらに9.2%上昇したようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?人って親切ですよね。またこの実験の結果を一般人や専門家に予想してもらったのですが、みんな財布の中身の金額が高いほど返ってこないと予想したそうです。
予想は外れ、我々が思う以上に人は親切だということが分かりました。
しかし、これは公的機関や銀行、ホテルなど割と真面目な人が多い職場で働いている人を対象にした研究なので完全には鵜呑みには出来ない結果です。
しかし、世界的に同じ傾向がみられたのは、人類共通した傾向にあるのかもしれません。
そう信じたいですね。
ちなみに最も返却率が高い国はスイス、ノルウェー、オランダ、デンマーク、スウェーデンなどでした。
逆に低い国は中国、モロッコ、ペルー、カザフスタンなどでした。
日本は研究に入っていませんでしたが、上位に来るのではないかと何も根拠はないですが信じています。非常に面白い研究でした。
何かの参考になれば幸いです。
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引用論文
Cohn, A., Maréchal, M. A., Tannenbaum, D., & Zünd, C. L. (2019). Civic honesty around the globe. Science, 365(6448), 70-73.