子どもに沢山話しかけることの大切さ:言語発達を促す

【0歳〜3歳】乳幼児
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みなさんは子どもと積極的に会話をしているでしょうか?
言わずもがな会話をすることは重要で子どもの語彙力にも非常に大事なことのようです。

今回はその研究を紹介します。

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親子の様子を観察して親の話す量が多いほど子ども語彙が多い研究

2014年にニューヨーク医科大学の研究者とスタンフォード大学研究者の論文です。

1歳~2歳の子どもと親を観察した

低所得のラテン系家族から19ヶ月の29人の子供を対象にしました。

子どもに向けた会話とそれ以外を分析ソフトも使い観察した

親と子どもの日常会話を録音して、親が子供に話しかける語彙数を数えました。

録音は、LENA(Language Environment Analysis)というソフトで分析されました。このソフトは呼ばれ人間の音声と、テレビやラジオなどの他の音声ソースを区別し、カウントする能力のあるソフトでした。
次に、スペイン語が分かる人が録音を聞いて、子供に向けられた会話であるか?また、親が電話をしているときや別の大人と話しているときなど、子供に向けていない会話であるかを判別しました。

また実験時2歳の時語彙数や言語処理能力を計測しました。
言語処理能力は身近な単語を解釈する時の子供の速さや正確さをミリ秒レベルで調べました。

親から話しかけられることが多い子は語彙数が多かった!

録音の子どもに向けた会話で最も多かった親の会話は約12000語でした。
最も少ないのは670語程度でした。これは1時間あたりわずか67語で、30秒のコマーシャルで聞くよりも少ない会話量のようです。

つまり、子供に話しかける時間が1時間に30秒以下ということ。
10時間で6分程度しか子供に話しかけていないということになります。

12000語の場合、67語が30秒とすると10時間で約90分間子供に話しかけていることになりますね。

子どもが2歳の時(実験から5か月後)に子供の語彙数を確認すると話しかけられることが少ない子供よりも話しかけられることが多い子供の方が、語彙数が多かったという結果となりました。
また、言語処理能力も話しかけられることが多い子供の方が優れていました。

そして、電話や大人同士の会話など子どもに向けられていない会話の量は子どもの語彙数と関連がありませんでした。

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まとめ

研究者は子どもに直接話しかけられた言語の方が、単に子どもが聞き流しただけの言語よりも、言語の発達をサポートすると結論しています。
このように、子どもに直接話しかけた言葉の方が、子どもの言語の発達に効果的である理由はいくつかあるようです。

その一つに子どもに向けられた声は子どもの注意力に関連した事柄で発生する可能性が高く、それによって言葉の学習が促進されるだろうということです。つまり子どもにとってタイムリーな話題なので、子どももしっかり耳を傾けてくれるということだと思います。
適当な会話やただテレビを見せているだけでは効果が薄いのでしょうね。

子どもに向けられた発話は、大人に向けられた発話に比べて、よりシンプルな構文を用い、固有の単語の種類が少なく、単一単語の発話が多く含まれています。

これは、単純で親しみやすい構文フレームで提示された方が、子どもにとって言葉の意味がより明確になる可能性があるとも言われています。子どもの成長に合わせた分かりやすい言葉で話しかけると良いかもしれませんね。

この研究の著者はこれまでの先行研究から言語発達における個人差は、恵まれない家庭の子どもたちは、言語経験、処理、語彙の社会経済的地位が高い家庭の子どもたちよりも、平均的に言語の習得が遅くなっている事実があると述べています。

ですが、恵まれない子供たちの中にも言語発達の程度はバラバラでその要因の一つとして親が子供への会話の量が関係している可能性があると述べています。

つまり、恵まれない家庭などはあまり関係なく、子どもと会話すれば(この会話する機会が恵まれない家庭では大変なようですが)言語発達や言語処理能力は他の子どもと変わらないかそれ以上に伸ばせる可能性もあると私は思いました。

子どもに向けて会話するって大切だということを改めて認識しました。

以下の記事に関連記事も書いています。良かったら読んでくださいね。

引用論文

Adriana W, Anne F 2014. “Social environments shape children’s language experiences, strengthening language processing and building vocabulary”.
In Language in Interaction: Studies in honor of Eve V. Clark, 29–50 DOI:https://doi.org/10.1075/tilar.12.06wei

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