低所得の子どものワーキングメモリーは低い

【3歳~18歳】こども

お金がある家庭は子どもへのメリットも沢山あると言われています。
今回はそのメリットの一つでワーキングメモリーに関する論文を紹介します。

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ワーキングメモリーとは?

ワーキングメモリーとは短い時間に心の中で情報を保持し,同時に処理する能力のことを指します。会話や読み書き,計算などの基礎となる,私たちの日常生活や学習を支える重要な能力です。引用

ワーキングメモリーはパソコンでいうメモリのようなもので記憶を保持し課題解決のために使う能力ですね。生きていく上で非常に重要な能力だと言われています。
これが所得の差で変わるなんて不思議ですよね。今回は機能的MRIという脳の中の活動を可視化出来る機械も使い分析しています。

実験

2016年にDevelopmental Scienceジャーナルに掲載されたトロント大学の研究です。

対象者

67人の中学生を対象としました。

ボストン地域で広告や放課後のプログラムを通じて募集されました。

高所得と低所得の分け方は給食が無料または割引価格の生徒かで判断しました。(アメリアでは給食費は有料で結構かかるのかもしれませんね)

31人高所得者層の平均年齢は14.5歳で、女性45%、アフリカ系アメリカ人10%、アジア系アメリカ人19%、白人58%、ヒスパニック系は3%であった

36人低所得者層の平均年齢は14.3歳で、女性は64%。アフリカ系アメリカ人50%、アジア系3%、白人11%、ヒスパニック系53%でした。

男女差や人種の違いが無いように配慮したようです。

テスト内容

テストはマサチューセッツ工科大学でテストは行われました。
✔Nバック課題
✔カウントスパン課題
✔非言語知性テスト
この3つが行われました(簡単な脳トレのようなテストです)。

また、テスト中に機能的MRI検査も行い脳の活動領域を調べました。

結果から分かったこと

所得の高い子どもは

✔所得の低い子どもに比べてワーキングメモリーの能力が高かった。

✔州全体の数学達成度テストの得点が高いこととも関連していました。

✔作業記憶を要求される状況での頭頂前野幹部(ここは数学や計算などでも使われる脳の領域一つ)が活性していることが分かりました。

著者は神経構造が家族の所得に応じて変化し、ワーキングメモリーや数学達成度と関連していること結論しています。

まとめ

ワーキングメモリーもですが、親の所得の違いによって脳の神経構造まで変化している可能性があるのにはびっくりですね。

ショッキングな研究ですが、この研究では学校の給食費を払えないくらいの人々を低所得と定義しているので、日本で当てはめるとかなり少ない割合かなと思います。公共サービスもありますしね。

また、著者は低所得の子どものワーキングメモリーが低い理由はこうのように言及しています。
慢性的なストレスへやあまり豊かでない環境のせいで、脳全体や特に前頭前野に影響を与えることが知られているため、高所得の子どもとの間に今回の研究結果で違いが生じた可能性があります。

お金がない環境は親もですが、子どもにも過大なストレスを与える。

そのせいでワーキングメモリーなどのパフォーマンスが低下するようです。

また、子どもの脳は柔軟なのでこの環境を支援してあげればワーキングメモリーなども改善が期待できるかもしれないと述べています。

何かの参考になれば幸いです。

引用論文

Amy S. Finn, Jennifer E. Minas, Julia A. Leonard, Allyson P. Mackey, J Salvatore, Calvin G, Martin R. West, Christopher F.O. Gabrieli, John D.E. Gabrieli. Functional brain organization of working memory in adolescents varies in relation to family income and academic achievement. Developmental Science, 2016; DOI: 10.1111/desc.12450

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