今回はトイトレの一種であるEC( Elimination Communication:エリミネーション・コミュニケーション)と夜泣きや泣く回数の意外な関係についてお話します。
赤ちゃんの夜泣きは排泄とも密接に関連しています。生後まもなくECを実践するとなんと夜泣きも減るよという2020年の研究が発表されました。
トイレトレーニング自体は子どもの排泄に関して良いことが明らかになっています。だけど赤ちゃんの泣く回数や泣く時間についても影響するのはびっくりですよね!しかも生後1か月から開始して効果があるそうです。
またこの記事ではECやトイトレをいつ始めたらいいの?ECってどんな方法?効果は?
という疑問も明らかになると思います。
トイトレのECとは?
ECとは、Elimination Communication:エリミネーション・コミュニケーションの略語でEliminationは排泄を意味し、Communicationはコミュニケーションを意味しています。
ECはトイトレによく出てきますが、赤ちゃんをトレーニングして鍛えるというよりは赤ちゃんと排泄を通しコミュニケーションを取るというのが目的です。
最近の研究では生まれて間もない赤ちゃんも排泄した自覚を持ち、排泄コントロールがある程度は可能な事が明らかになってきているようです。
ECは赤ちゃんとコミニケーションを通して自然と排泄のコントロールを身につける事が出来ると言われています。
ECとおねしょ・夜尿症への効果はこちらでまとめています。トイトレECはおねしょを減らす
ECのやり方
✔赤ちゃんの排尿や排便を察した時に、排泄させるために赤ちゃんを優しく支えて、便器やおまる、洗面器でも良いそうです。
そこにお尻を置き、安全なしゃがんだ姿勢で抱きしめることのようです。
排泄を無事に終えたら終了です。しばらくしてみて出なくてもやめて良いです。
こうやって赤ちゃんに排泄の習慣をつけていきます。
ECを一定の間隔で行い排泄のパターンを合わせる場合もありますが、基本的にそろそろトイレかなと思ったタイミングで始めて良いそうです。
その他にECを行うタイミングは、赤ちゃんが睡眠から目覚めたときや授乳後など、何かの活動の前後にECを行い排泄するタイミングを取ったりします。
ECはクンサン族の育児から学んだ!
ECはアフリカのボツワナに暮らすクンサン族(狩猟採集民)の子育てからヒントを得た方法のようです。
クンサン族の赤ちゃんは泣く回数が少なく、その子育て方法は当時の欧米とは全く異なるスタイルでした。
そしてECもクンサン族の子育てで一般的に行われているトイトレだったようです。ここに研究者たちは目をつけて、今ではこぞってECの研究をしています。
ECやトイトレは効果あるの?
トイトレやECの実践は子どもの排尿コントロールに良い影響がある研究がいくつも出されています。
2020年のメタアナ論文では(1)
✔トイトレは睡眠中のおもらしを0.63倍減らす(OR:0.63、P = 0.023)
※メタアナ論文とは沢山の研究論文を集めて同時に分析解析する研究論文の事です。
沢山の研究を一つにして解析するためエビデンスレベル、科学的根拠の質は高いと言われています。詳しくはWikipedia 参照 メタアナリシス(meta-analysis)とは
ECは何歳から始めた方がいい?
✔おすすめは首が座る頃の3ヶ月から!できれば1歳以内に始めた方が良い!
紹介した研究では生後1カ月以内にすでにECを行っています。育児に自信のあるかたは生後1ヶ月からでも良いと思います。首が座っていないので心配ですが、、、。
これまでの研究では以下の事が報告されています。
✔生後12か月以前にECを開始した子どもの2歳時の排尿のコントロールは、生後12か月以降に開始した子どもよりも有意に高く(70.72%vs 59.02%,p<0.001)、ECをしていない子どもよりも有意に高かった(70.72%vs 42.48%,p<0.001)(2)
✔生後12か月より前にECを開始すると、小児の排尿の障害の有病率を低下させる可能性も報告されています。(3)
最近の研究では12ヶ月前に行うことを推奨しており、早く行うほど子どもの排泄に伴うトラブルが減少する傾向にあるようです。
生後1ヶ月からでも初めて良いと思いますが、初めての子どもや不安の強いかたは首が座る頃の生後3ヵ月~4ヶ月に開始することをお勧めします。
スポンサードリンクECを実践してもらうと夜泣きの半分に減った!パイロット研究
2020年のカナダのトリニティウエスタン大学研究です。
10名の生後1か月未満の子どもを持つ母親にトイトレ実践してもらい日記をつけてもらった
今回はパイロット研究という大規模な実験をする前に行う小規模な実験です。
結果がどうなるか分からない場合や独創的な仮定をしている場合良く用いられます。(研究もお金がかかるので、、、)
そのため、トイトレと子どものおねしょが減る研究または夜泣きとその対処法に対する研究は結構あるのですが、トイトレが夜泣きを減らす研究は意外な組み合わせであまり研究されていません!
小規模な研究のため研究結果には注意が必要です。しかし、この結果受けてさらに研究が進み子育ての常識が変わるかもしれませんね。
10名の母親を対象にしました 30~24歳8人、35歳以上2人
子どもは生後1ヶ月未満でした。(男児7名、女児3名)
生後4週から生後3ヵ月までの泣く回数や泣く時間、疝痛症状を記録しました。
※疝痛症状とは仙痛とは,健康な乳児でみられる,原因の特定できないけど赤ちゃんが泣いている事を指します。
またお母さん全員にトイレトレーニングであるECを実施してもらいました。
スポンサードリンクECは赤ちゃんの泣く回数を半分減らした!
赤ちゃんは1日あたり平均2.2回、69.7分間、騒いだり泣いたりしていました。
✔疝痛症状の回数が多いと泣く回数が増え(r = 0.94, p < 0.01)と泣く時間も長くなる(r = 0.83, p < 0.01)傾向にありました。✔1日の泣く回数が増加すると、1日の排泄回数が0.32回増加しました(p < 0.01)✔ECの回数が増えると、泣いている時間が短くなることと関連していました。
ほとんどのお母さんがECを1日に3回以上はしていました。また乳児の年齢が高いほど、ECの回数が増える傾向にありました(r = 0.19, p < 0.01)
1日の泣き声や時間を過去のデータと比較した
1日の平均泣き声を、泣き声データ、すなわちBrazeltonの1962年のsalient研究のデータと、HuntsikerとBarrの1986年の研究の対照データと比較しました。
過去のサンプルとの比較は好ましくない解析の方法ですが、正しいすればとても効果があると思いますね。
まとめ
・ECは1歳になる前に始めよう。生後1ヶ月からでも良い。個人的には首が座る頃の生後3ヶ月から
・夜泣きや泣く回数を半分に減らせる可能性がある
・パイロット研究だから結果には注意が必要、今後の研究に期待!(研究が出たら、記事で取り扱います)
いかがでしたでしょうか?
トイトレをするだけで赤ちゃんの泣き時間が減る可能性があります。平均して減っているので夜泣きも減る可能性がありますね。
今後は大規模で精度の高い研究がされてくると思いますのでその結果に期待したいですね。
トイトレ自体は好ましい効果がいくつも報告されていて、それも首が座る前の乳児から開始しても良いと言われています。
あと、赤ちゃんのスキンケアグッズはこちらがとってもおすすめです。My Earthday ツヤツヤスベスベになるので、ぜひ一回試してみてください。
夜泣きのまとめはこちらから 夜泣き対策まとめ
赤ちゃんの夜泣きに関する記事は以下にもまとめています。良かったら読んでくださいね。
https://dai-thesis.xyz/ec-primary-enuresis/
引用論文
Jordan, G. J., Arbeau, K., McFarland, D., Ireland, K., & Richardson, A. (2020). Elimination communication contributes to a reduction in unexplained infant crying. Medical Hypotheses, 142, 109811.
(1)Li, X., Wen, J. G., Xie, H., Wu, X. D., Shen, T., Yang, X. Q., … & Du, Y. K. (2020). Delayed in toilet training association with pediatric lower urinary tract dysfunction: A systematic review and meta-analysis. Journal of pediatric urology, 16(3), 352-e1.
(2)Wang, J., Wang, Y., Wang, Y. H., Wen, Y. B., Jiang, C. Z., & Wen, J. G. (2020). The influence of time of elimination communication on the prevalence of infantile daytime urination control-a survey from Mainland China.
(3)Xing, D., Wang, Y. H., Wen, Y. B., Li, Q., Feng, J. J., Wu, J. W., … & Wen, J. G. (2020). Prevalence and risk factors of overactive bladder in Chinese children: A population‐based study. Neurourology and urodynamics, 39(2), 688-694.