前回はジャスチャーを用いながら説明すると子どもたちの説明力や物語の理解力向上につながることについて取り上げました。
子どもにジェスチャーしながら教えると子どもの説明力が上がる!【科学的根拠】
今回は実際に子ども達がジェスチャーを使いながら、覚えた物語を説明してもらうと効果があるのか?について解説します。
結果は物語の説明力や言葉の流暢さがジェスチャーを使いながら話すだけで向上するという結果でした。
子どもに何かを説明してもらうときは是非、身振り手振りのジェスチャーを交えて説明すると良いかもしれませんね。
この記事を最後まで読むと、どれくらいジェスチャーが効果があるのか?他にもどんな効果があるのか?が分かる内容となっています。
では詳しく解説します。
5歳の子どもにジェスチャーを使う場合と使わない場合で物語を説明してもらい評価した研究
5歳~6歳(平均年齢=5.92歳)47名の子どもを対象にしました。
事前テスト:まず子どもの説明力や流暢であるかの評価をした
初めに50秒程度の2つのアニメを見せて、子どもにその内容を説明してもらいました。
✔説明力の評価
子どもの説明をみて物語の理解力や説明力を6点満点で評価しました。
✔説明する時の流暢さ
滞りなく言葉が出てくるかなどを7点満点で評価しました。
説明するトレーニングをすべての子どもにした。
子どもに6つの短いお話を説明している先生の動画を見てもらいました。
その際に説明している先生はジェスチャーを交えながら説明しました。
説明の練習をする際にジェスチャーを使うように促すグループとジェスチャーを使うように促さないグループの二つに分けました。
✔ジェスチャーを使うように促すグループは
「(動画の)先生が物語を語るときにたくさん手を動かしていたのがわかった?」など、動画の先生が物語の間ずっと手を動かしていたことを強調しました。そして、実際に説明をさせてみて、ジェスチャーを実際に使って説明することを確認しました。
✔ジェスチャーを使うように促さないグループは
ジェスチャーを使っていることは強調せずに物語の説明を練習してもらいました。その後実際に説明させてみると、ジェスチャーを使うよう促したグループに比べて、明らかにジェスチャーを使う頻度が少ないことを確認しました。
実際にどのようなジェスチャーをしていたかの参考画像です。(画像1)
画像1は引用論文より抜粋
事後テストをした!
説明のトレーニング後に2つのアニメ(事前のテストで見せたアニメと似た構成ですが、内容は違うアニメ)を見せて、説明力と流暢さを評価しました。
スポンサードリンクジェスチャーを使うと子どもの説明力や言葉の流暢さ向上した!
事後テストの結果は
✔ジェスチャーを使うグループの子どもは使わないグループに比べて説明力のスコアが1.246ほど高い結果でした。(6点満点中)
✔ジェスチャーを使うグループは流暢さが1.208ほど高い結果でした。(7点満点中)
✔ジェスチャーを使うグループは事前テストに比べ事後テストの方が説明力や流暢さの得点が高いという結果でした。
✔ジェスチャーを使わないグループは事前テストと事後テストの得点は変わらないという結果もわかりました。
ちなみに事前のテストではどちらも説明力や流暢さには差が無い状態でした。
これらの結果よりジェスチャーを使うと子どもの説明力や流暢さには効果があることが明らかにされました。
なぜジェスチャーを使うと子どもの能力があがるのか?
こちらについては前回のブログでも説明しました。(ジェスチャーしながら教えると子どもの説明力が上がる)
ジェスチャーは、言語処理や言語発達、コミュニケーションの重要な前駆体であると考えられています。
我々は言葉と同じくらいジェスチャーを自然と理解しやすい可能性があるようです。
つまりジェスチャーとてもなじみが深く、言葉に代わって理解を促してくれるツールなんですよね。
他にもジェスチャーを使うと良い効果が報告されている
先行研究では他にもジェスチャーを用いることによる良い効果が報告されています。
✔ジェスチャーは数学力を上げる
子どもが数学の問題を解こうとするときにジェスチャーをすることを奨励すると、それまで気づかなかった新しい正しい公式や数学を解くための方法を考え付くことが考えられています。(1)
✔ジェスチャーは創造性を上げる
8歳から11歳の子どもが自発的にジェスチャーをしたり、ジェスチャーをするように促されたりすると、日用品の新しい使い方をより創造的に思いいたり、流暢にアイデアを生み出すのに役立つことが明らかになりました。(2)
まとめ
子どもにジェスチャーを使って説明してもらうと
✔説明力が上がる
✔言葉の流暢さが上がる
✔他にもジェスチャーを使うと数学力や創造性が上がる可能性がある
いかがでしたでしょうか?
ただ身振り手振りをするジェスチャーを使うだけで学習面への効果はとても期待できますね。
身振り手振りを教えるだけで、大きなコストもかからないので是非教育の場面や普段から使うように意識させたいですね。
ジェスチャーと説明力の字幕付き解説動画
動画もありますので良かったら見てくださいね
また、他にも教育に関する記事を書いていますので、良かったら読んでくださいね。
引用論文
Vilà‐Giménez, I., & Prieto, P. (2020). Encouraging kids to beat: Children’s beat gesture production boosts their narrative performance. Developmental science, 23(6), e12967.
(1)Broaders, S. C., Cook, S. W., Mitchell, Z., & Goldin-Meadow, S. (2007). Making children gesture brings out implicit knowledge and leads to learning. Journal of experimental psychology. General, 136(4), 539–550.
(2)Kirk, E., & Lewis, C. (2017). Gesture Facilitates Children’s Creative Thinking. Psychological science, 28(2), 225–232.