みなさんは仕事と家庭のバランスは上手く取れているでしょうか?私もですが遅くまで残業するとパートナーや子どもに申し訳ないと思うことが多々あります。
今回はハードな(ブラックな?)職場で働く子どもを持つ母親、父親が子ども時代の両親の働き方はどうだったのか?と仕事と家庭のバランスについての考えやジレンマを語ってもらい、分析した論文を紹介します。
例えば、両親の働き方は大きく分けると父親が稼ぎ、母親は専業主婦の家庭か共働きか?の二つかなと思います。
私たちが仕事と家庭を優先する程度は、子供時代の両親の働き方によって形作られる可能性があるようです。
ロンドン・クイーン・メアリー大学(QMUL)の研究は仕事と家庭の対立の原因を解き明かすために78名の子持ちの男女に148件のインタビューを行ったようです。
この研究は、世界的な大手会計事務所と法律事務所の従業員を対象にしました。これらの企業が選ばれたのは、会計事務と法律事務所は、要求の厳しい職業であり、仕事と家庭の対立を経験するような仕事環境(ブラック企業?)である可能性が高いと考えられたからです。
インタビューは45分から120分の間で2回行われました。
参加者には、キャリアと家庭生活の概要を質問され、人生の最高な時や最低な時、転機などを語ってもらいました。そして、仕事と家庭のバランスに関する意思決定に重要な影響を与えた人物について質問されました。
(1)親の働き方を自発的に再現している
(2)自分の意思に反して親の働き方を再現している
(3)親の働き方をしないようにしている
(4)自分の意思に反して親の働き方をしないグループ
インタビュー対象者は、研究者によって4つのカテゴリーに分類され分析をされました。
結果は
父親が一人で働き、母親が専業主婦という昔ながらの家庭で育った女性と男性の間に、いくつかの仕事と家庭に対する価値観の違いがあることが示されました。
専業主婦の家庭で育った男性は、仕事と家族のバランスをとることに伴う罪悪感の影響を受けない傾向がありました。つまり仕事一筋で家庭を省みなくても平気と考える傾向にあるようです。
一方で専業主婦の家庭で育った母親は罪悪感を伴うことがあるようです。
インタビューされた母親の一人は”母はいつも家におり、自分の子供にも同じようにしてあげられなかったことに罪の意識を感じています。毎日家にいるわけでは無いので。私が子供たちを保育園に預けたことで、子供たちを失望させてしまったような気がします。子供たちがもう少し大きくなるまでは、私が家で一緒にいた方がいいのかもしれないと思うこともあります。” と語っていました。
また、女性の参加者の中には、家事をしている母親が早い段階から大人になっても仕事をするように言われている人もいました。このようなケースでは、母親が意識的に自分を「負のお手本」として設定し、娘に自分の過ちを繰り返さないように励ましていることがありました。
著者は仕事と家庭の優先度の考え方は自分の両親に影響されている可能性があると述べています。
確かに言われてみれば納得の内容ですね。今回の論文はインタビューを分析するといういわゆる質的研究ですので、今後より精度の高い研究が期待されますね。
みなさんも仕事と家庭のバランスどうでしょうか?この記事を読んで一考していただけると幸いです。
興味のある方は引用論文を貼っていますので時間のある時にでも眺めてみるといいかもしれません。
また、余談ですが、結婚前の人は家庭を大事にする人かどうか?その人の両親を注意してみると良いかもしれませんね。
引用論文
Ioana L, Crawford S, Laura E. When the past comes back to haunt you: The enduring influence of upbringing on the work–family decisions of professional parents. Human Relations, 2017; 001872671770824 DOI: 10.1177/0018726717708247