今回は子どもと不正を防ぐ方法についてうわさが効果あるよという研究論文を紹介します。
なんと噂=他人の評判を気にしだすのは5歳くらいからだと科学的に証明もされた研究になります。
良い噂話を伝えた後にテストを行った実験
2016年中国杭州師範大学の研究です。
対象
3つの実験が行われ361名の3歳から5歳児が対象となりました。
実験内容
子ども達にテストをしてもらいました
動物のおもちゃの鳴き声を聞いて、見えないように後ろに置かれた動物の名前を当てるゲームです。当たれば賞品を獲得できると言われました。
研究者は「後ろのテーブルに動物を置きます。動物が音を出すので当ててください。当てた後は、後ろを向いて正解かどうか確認してください。当て終わってから振り向いてはいけません」と言いました。
これを3回しました。
初めの2問はとても簡単でした。「にゃーにゃ―」→猫とか「わんわん」→犬などの問題
最後の問題をする時に、研究者は急用が出来ので、少し部屋から出ることを説明しました。
部屋を出る前に、おもちゃを後ろのテーブルに置き、そのおもちゃの音を鳴らしました。
最後の動物のおもちゃの音はおもちゃと関係のない電子音だったので正解は当てるのは普通であれば無理でした。
研究者は「戻ってきたら、その動物が何だと思うか教えてください」といい部屋から60秒ほど部屋を出て行きました。
研究者が退室した後の様子は隠しカメラで観察されました。
そして、子どもたちにある条件をそれぞれ割り付けて実験ました。
✔良いうわさを聞いたグループ
テスト開始前にクラスの他の子があなたを良い子だと言っていたよと伝えました。また研究者が部屋を出る直前に、「さっき言ったように、あなたのクラスの子たちはあなたが良い子だと言っていた」と良い評判について思い出させました。
✔何も伝えないグループ
テスト開始前にうわさなどは何も聞かせずテストを開始しました。
良い噂を聞くとカンニングが減った!
✔不正を行った場合も不正を行う行動をするまでの時間が長くなる傾向がありました。
カンニングをする割合は3歳児や4歳児には効果がありませんでしたが、不正を行う行動をするまでの時間が4歳児では長くなっていました。
これらの結果から良い噂を聞くとその評判を守ろう、あるいはその通りになろうと考え不正が減るのだと考えられます。
5歳児がすでに他人が自分に対して持っている特定の印象についての情報に敏感であることや子どもが自分の良い評判を知らせるだけで道徳的な行動を促進できることが確認された実験でした。
3歳や4歳児にはあまり効果がなかったことから、5歳から効果を発揮するというのも大事なポイントかも。
まとめ
いかがでしたでしょうか?5歳児以降には良い評判などを伝えると、子ども自身もそうなろうと道徳的な行動を遵守する可能性が高くようです。
子育て中にうまく噂話を利用していきたいですね。
また、これは大人でも当てはまる心理テクニックだと思います。他人から良いうわさを聞くと悪い気はしないし、そのような人間になろうと思うことがあります。
沢山応用可能なので、うわさをコントロールして円滑に生活できればいいですね。
何かの参考になれば幸いです。
また、子どもの不正を防ぐ方法としてモラルバリア効果という魔法のバリア、想像上の障壁を使うテクニックもあります。良かったらこちらも参考にしてくださいね。↓
不正を働きやすくなるのに褒め方が関係しているという研究もでています。こちらも良かったら読んでくださいね。
また嘘をつきやすい環境に体罰が関係している可能性も明らかになっています。こちらも良かったら読んでくださいね。
引用論文
Fu, G., Heyman, G. D., Qian, M., Guo, T., & Lee, K. (2016). Young children with a positive reputation to maintain are less likely to cheat. Developmental Science, 19(2), 275–283.